世界の猶太人網(ヘンリーフォード著・包荒子解説)28(完)

2. 無線電信と猶太人

次に掲げたのは「ロイド・ジョージとマルコーニ事件」という表題の下に、1921年6月23日ヴィエイエ・フランス誌に掲載されたものである。今此れを摘録したのは、英國の大政治家ロイド・ジョージの人物を論評しようというのではない、此のマルコーニ事件を猶太研究方面から観察すると実に面白いものがあるからである。即ち此の事件に依って、如何に猶太人が世界的大機業に非凡な眼識を有し、其の目的の爲彼等の勢力を如何にして國家に喰い込ませ、そして之を左右するか、という実例を窺知し得るからである。

               **********

ロイド・ジョージの関係した例のマルコーニ事件があって、未だ数年を経ないのに既に忘れられようとして居る。今茲に其の事件を想起し、以て三年以来フランスが犠牲となり且つ恥辱を蒙るに至った人物を明らかにしようと思う。

抑々英國の戦略地点は全地球を包容して居るのであるが、1911年英國は無線電信の重要なることを知り、同國海軍は無線電信網を以て海洋を覆った。発明は当時アメリカの一會社にあったが、本會社に関係する英人側猶太人ゴットフレー・イサック(代表管理者)は、1912年6月19日の契約に依って、英國政府から無電専売権獲得の権を得て大いに英帝國の爲に貢献するに至ったのである。即ち彼は急遽アメリカに到り、一万四千ポンド(約十四万円)でアメリカ会社から権利を買収し、百四十万ポンド(約千四百万円)の資本を以て英國に新會社を設立した。

然るに猶太人ゴットフレー・イサックに二人の兄弟があった、一人はビラングスゲートの果物市場の商人なるハリーで、他の一人は閣員にして且つ英國の総会計役なるルフェスである。ゴットフレーは勿論此の二人の兄弟を組合員にした、そこで総会計役なるルフェスは一万株を取った、併し彼は此の仕事について不安を感ぜずには居られなかった。なぜならば彼は議会と輿論を心配した、即ち彼は閣員でありながら一私設会社の専売権を利用し誤魔化して居るということを知られては大変だと思ったのである。

英国はルーシュールやアルベール・トーマス等の制度がフランス人を倒したような程度迄は未だ堕落して居なかった、たといヘブライ人のするが儘になる様な國民でも之を強奪することはロンドンでは正しくなかった。随って彼ルフェスもその同僚たる大蔵大臣ロイド・ジョージを同じ途伴れ(みちづれ)にする為によほど注意した。併し投機者ロイド・ジョージには、株の支払をする金がなかった、其の時ルフェスは言った「そんなことはどうでもよいよ、支払は君の都合のよい時でよい」と斯くしてロイド・ジョージは一千株を買った。

此のことが世に出ると調査會を開くべしという声が高くなり、ロイド・ジョージとルフェス・イサックはマルコーニ會社とは何等関係なきことを確言し、ロイド・ジョージの演説は吾人に新聞に依って伝えられた。「私は可愛想な者である、唯パンを有するのみ」と、そして彼は株を持ち自動車を持ちそして外國銀行で貯金して居る。

遂に秘密なる力はロイド・ジョージを掌握して英、仏及びポーランドの諸國を裏切りドイツの利益の爲にボリシェヴィキの手先をしたのだ、

涜職者たるロイド・ジョージはルフェス・イサックをレディング卿の仮名で、英帝國の崩壊の爲インド総督に任じ、前の借金をイサックに支払ったのである。

 

 

 

3. 上海に於ける猶太実勢力

本記事は私の友人で支那通なるK博士の談である。東洋通商の枢軸にして我が帝國の玄関先たる上海に於ける猶太勢力の実況を窺うべき絶好の資料を思惟したので、次に掲載して読者の参考に供することにした。

               **********

支那の上海にはハードン、カドウリ、エヅラ氏等の如き代表的富豪を始めとし、各國に籍を有っている猶太人の医師、記者、教師が居る。私は戯談の意味で親交ある一猶太人に向かって「全世界は方(まさ)に猶太人に征服されつつあり」といった處が、彼莞爾として曰く「実に然り、但し尚多少の歳月を要すべし」と。更に曰く「諸國に散在して居る猶太人の眼からは、その土着の國人は馬鹿者と考えられて居ると」と。猶太問題に関する書籍を渉猟した私の脳裏には、此の偽らざる告白から一種の深い感興が湧いて来たのである。

誠に上海に於ける富豪を数えて見ると、私の知って居る範囲では、一番から五番まで悉く猶太人である。彼等在留民の全数は微々たるものであろうが、而も現在四百余名の市参事会員有権者があり、三個の英字新聞中チャイナ・プレス(排日紙)と上海タイムス(親日紙)は現に彼等猶太人に依って経営されて居り、ノース・チャイナ・デイリー・ニュースは英人の経営ではあるが、有力なる記者は猶太人である。その他バンドの大建築櫛比する中に交じって、巍然たる(高くそびえたつ)メーソン結社の大会堂及び英租界に宏大なるシナゴーグ(猶太教会堂)を有して居ること等より想像するも、東亜の一開港場たる上海の如き一局地に於てさえ、その根底に於て如何に彼等の実力が牢乎として居るか窺われるではないか。殊に南京路大通の大部分が、ハードン翁個人の所有であるというに至っては驚嘆せざるを得ないのである。上海といえば、日本人は英國其のものの延長の如く考えて居るが、良く解剖して見るとそれは唯外観だけであって事実は寧ろ猶太人の上海といった方が適切であるかも知れない。

私は昨秋シオニズムの人々からメーソン会堂に招待されたことがあった。数千人を容れるに足る大ホールに参集した面々は、英、米、独、露、ポーランドチェコスロバキア、印度等各國籍の猶太人であって、其の余りに多種多様であるのには驚かざるを得なかった。各自其の所属國の國語を用いながら、欧州大戦中には互に敵となり味方となって戦ったことなどは、更に頓着する様子もなく「総てのイスラエル人は同胞なり」という伝統的信条の下に、故國恢復運動に熱を揚げて居る。いざといえばすぐ特殊部落を作るのが猶太人と日本人であるが、猶太人のメーソン結社やシオニスト団などは世界的のものであって、而も日本人の小団体の様に孤立したものではなく、世界の隅から隅まで網の目のような連絡があるのである。

                         終

 

 

f:id:caritaspes:20190821180318p:plain

 

世界の猶太人網00に戻る   前回 世界の猶太人網27