フリーメーソンと世界革命00

皆さま

すっかりご無沙汰してしまいまして、前回の投稿から一か月以上が経ってしまいました。読者の皆様には、気候の急変するこの頃、ご健勝で過ごされていることとお察しいたします。なにとぞ、ご自愛くださいませ。

この間、私はまた一つ、日本の古い本を繙(ひもと)き、それをいつものように写本して居りましたが、いつものパターンで、書いてあることや登場人物について、私の悪い癖で、拘泥して居ります内に、どんどん深みに嵌ってしまいました。

まずは、「フリーメーソンと世界革命」と言う、なんでもオーストリアのウィヒテル博士が書いた本、ということでネット上を調べましたが日本語ではその本自体のリンク以外全く出ません。何しろ、大正12年(1923年)(原典は1922年発行)に出版された本でして、ドイツ語の綴りは皆無、全部独逸訛りのローマ字読みでカタカナになって居ります。

最初はウィヒテルをWichterだと思って、一生懸命検索しましたが、ヒットはゼロ。諦めかけていたときに、ひょんなことから、英語のFreemason Freemasonryをドイツ語に訳し、Freimaurer、Freimaurereiと言う言葉を拾い上げ、それを基にドイツ語で検索すると、出てきました、Wichtl(ウィヒトゥル)博士、そして、遂にPDF 書式の原典を手に入れることも出来ました!

でも残念なことにドイツ語など、「♬Auf flügeln des gesanges...♪」は歌えますが、ドイツの作曲家の歌曲、それに第九で知っている歌詞のうろ覚え程度しか見たこともありません。しかも、古い本でかすれている上、活字がよく分からない書体です。最初はEdwardian フォントと同じだと思っていたのですが、ドイツ語に不案内な私でも、あれ!、こんな綴りのドイツ語見たことない! と言うような言葉のオンパレード... どうやら、SとFの小文字が異常に似通っていて、区別つかない(スキャンしても認識率50%行かない)ようです。それに、小文字のsの書体に何種類かあり、(ssがβになることは知っていたのですが)更に、小文字のkも変(tに斜線を足したみたいな文字)ですし、こりゃ、解読に時間かかるわ!とうんざりしながら(この絵です)始めました。

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Weltfreimaurerei, Weltrevolution, Weltrepublik – Friedrich Wichtl 原典

まあ、それも何とかクリアし、日本語と原典を比べ、とにかく根気よく解読・照合しながら、原文のカタカナ表記の名前や事柄をアルファベットで抜き出してはネットで次から次へと調べつつ、進めてゆきましたが、第10章くらいまで?進んだところで、いくら照合しても絶対に出てこない部分を発見しました。一体、日本語の翻訳者は、どこからこんな文章を拾ったんだろう、と、そこでかなり悩みながら該当箇所の単語を拾い、それを基に検索を続けた所、確かに同じタイトルの本で日本語訳の文言と照合する部分があることに気付きました。でも手元の原典にはない?!

で、よくよく調べて見ると、自分の手元の原典は1919年の初版のようで、日本語訳の元になったものは、1922年の第五版以降であることが分かりました。ところが運の悪いことに、どこを探してもこの版のPDF原典が見つかりません。又諦めかけて、ふと思い出したのですが、最初に原典を見つけた時、慌ててGoogle Book にあったものを少額を出して購入していました。でもそれよりもずっと解像度の良いPDF を無料でDL していたのでそればかり参照してました。購入したものが新しい版であれば...と祈るように改めて見てみると、それは第8版でした。購入した時は「無駄金を遣ってしまった」と後悔していたのですが、「カネはただ取らん」(関西で良い物はそれだけ高い、と言う喩え)ということで、ようやく心のモヤモヤも全部解消し、調べものが進むようになりました。

(全部終わった所で、註が300か所近くになってしまいました)

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長々と退屈な話をしてしまいましたが、私は、予(かね)てから強い疑問を持って居ます。つまり、何故20世紀になってから二度も世界大戦が起こったか、そして、何故、20世紀初めに欧州の王族・貴族が悉(ことごと)く没落したか、一体、ヒトラリズム、或いはファシズムとは何であったのか、何故、第一次大戦の歴史が1920年代に修正(リヴィジョン)されて、第一次大戦の原因が掘り下げられたにもかかわらず、同じような世界大戦がもう一度起こったのか、ということです。「ドイツ悪玉論の神話」ではこれら二つの大戦が一つの戦争であったような歴史観がありました。そしてそれはその通り、一つの腑に落ちる結論であります。しかし、ヴェルサイユ条約以外に、ポーランド問題以前に何かドイツを敵対視する、何か別のもっと大きな力が働いていたように思えたのです。

この本に書いてあることはこれ等を理解する為の7割程度の答えを出してくれるはずです。また、第一次大戦の原因については9割以上答えが出るでしょう。にも拘らず、この本は、全くドイツ語の電子化がされているようには見受けられず、却って米国ではこれの復刻英語版がパブリックドメインで出ている、と言うありさまです。(なぜか、パブリックドメインなのに、その英語版にもネットからはアクセスできませんでした。何故かもこの本を読めばきっとわかりますけどね ^_^ 
※全部読んでも分からなかった人は是非問い合わせてください。私が答えをお知らせしますので。

更に、この本を読むと、19世紀後半から20世紀前半のオスマン帝国~トルコ、それに中南米の歴史的背景もかなりわかると思います。

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さて、これで遂に公開できるぞ、と思っていた矢先、またまた、とんでもないことが発覚しました。日本語ではあっさりとその事実(結論)だけが書かれて居たことなのですが、原典を読むと、その謎解きが「これについては序文に詳しく説明してあるのでここでは省略する」と言う記述と共に省略されていたのです。でも、これは省略するには余りにも重大な問題でした。このままでは公開しても価値が半分になってしまう。

もう、後には戻れません。一大決心をして、ドイツ語の序文を翻訳することにしました。但し、原文を英語の機械翻訳にかけて、それを見ながら、そして同時に日本語の機械翻訳と比べながら、納得できる日本語に落ち着くように、と言う土台無理を承知の方法で、敢えて取り組みました。(この手法は以前にフランス語を少しだけ訳した時に、仏⇒日機械翻訳より仏⇒英機械翻訳の方がはるかに良質であったことから使ったものです。)ですから、この序文には大きな翻訳ミスもあるかも知れません。あらかじめ、お断りしますが、意味が通じないところも数か所残っております。でも、私の恥を忍んでも、この部分も公開しなければならない、そう言う重大な事実を含んでいます。ですから、原典のドイツ語も公開することにしました。原典については私が文字起こししたものを一応ワード互換のソフトで綴りの確認だけはしてありますので綴りの間違いはほぼないと思います。

もし読者の中に、ドイツ語の心得がある方がおられれば、是非、私の頓珍漢な訳に替えて、正しい訳をご教示いただければ、幸甚に存じます。

 なお、この本については、古い本(大正12年)ですので原文版と現代文版の二つを公開することといたします。但し、原文版でも地名や外国人の名前は現代風に変えております。
現代文版は出来るだけ平易な日本語にて、若い読者の皆様にも読んでいただければ、とても嬉しいです。

末筆ながら、このブログの元になった小生の書き起こしを校正してくださった、某猫氏に深く感謝の言葉を述べさせてください。本当に煩わしい事を快くお引き受けくださいまして、誠にありがとうございました。