女イルミナティ02

「1530年頃、つまり最初の宣言に先立つこと80年前に既に、テンプル騎士団の本部であるポルトガルの(トマールの)基督教修道院に「十字架と薔薇の会」は存在し、後にキリスト騎士団と改名した。三つのボセテ[1]は、入会儀式の部屋の金庫に今も昔もある。薔薇は明らかに十字架の中心に見られるのである。」―wikiオンライン百科事典(見出し語:薔薇十字団Rosicrucianism)
[1] bocete:恐らく象徴的な像、又は髑髏で、それを以て入会の誓いをする為のものと思われる(燈照隅の推測)

 

「今日フランスで閲覧できる文書では、英国のヘンリー二世の家来でジャン・ド・ジソーと言う名のメーソンの前身のテンプル騎士団員とシオン修道会の初代独立大棟梁によって、薔薇十字団が設立されたと主張する。」―ジム・マース[2]著「秘密による支配」
[2] Jim Marrs(1943~2017)はアメリカの新聞ジャーナリストであり、ニューヨークタイムズ隠蔽工作や陰謀の疑いに関する書籍や記事のベストセラー作家。

 

イルミナティ結社はフリーメーソンの付加物として現れる。ミネルヴァルMinervals*(初期のバイエルンイルミナティ結社員)が見いだされるのはフリーメーソンの結社の中であり、そこで彼らは(啓蒙の)光への準備を整える。彼らは前もって英国の三つの階級を経ていなければならない。創設者は更に言う、即ち彼の教義のみが真のフリーメーソンであると。彼は取捨選択した組織の中心的推進者であった。これは、メーソンの謎について全ての説明の情報を得る最善の手段として創設者が力説したものであった。創設者はまた、厳しい遵奉者であり、薔薇十字団の熟練者でもあった。」―ジョン・ロビンソン著「血統に生れてBorn in Blood」
*ミネルヴァ信仰者の意味と思われる。ミネルヴァラテン語ミネルウァMinerva)は、詩・医学・知恵・商業・製織・工芸・魔術を司るローマ神話の女神。ギリシャのアテナ神。芸術作品などでは、彼女の聖なる動物であり知恵の象徴でもあるフクロウと共に描かれることが多い。

 

「薔薇十字団はテンプル騎士団の赤い十字架から導き出された。ミラボー[3]は、フリーメーソン結社員でイルミナティ結社員としてドイツに滞在中、その秘密結社に関して多くの事実を発見する立場にいたが、『17世紀の薔薇十字団メーソンは古いテンプル騎士団が秘密で継続していたものに過ぎない』と断定的に力説する。」―ネスタ・ウェブスター[4]ミラボー伯爵の「プロシャの君主の歴史」からの引用)

[3] ミラボー伯爵オノーレ・ガブリエル・ド・リケティ( Honoré-Gabriel de Riqueti又はRiquetti, Comte de Mirabeau, 1749~1791)は、フランス革命初期の中心的指導者である。
[4] Nesta Helen Webster(1876~1960)は英国の作家。 「見えざる至高者たち」の物語とユダヤ陰謀説を支持することに生涯をかけたと言われる。

 

「フランスでは、(テンプル)騎士団を去った騎士たちは、隠された、謂わば知られざる存在であったが、炎の星の騎士団the Order of the Flaming Starと薔薇十字団を形成し、それを15世紀にボヘミアとシレジアで広めたのである。」―Le Couteulx de Canteleu[5]

[5] カウント ジャン=エマニュエル・ヘクターザ(1827~1910)はフランス騎兵隊将校、犬のブリーダー、狩猟の専門家で、秘密結社の研究家。

 

テンプル騎士団の墓はパレスチナの複数の遺跡で見つかっており、そこには戦士の剣の彫像が含まれる。その剣の彫像自体が十字架の形をして居り、それに薔薇が巻き付いている。」―アラン・バトラー[6]とステファン・デフォー[7]著「騎士と銀行家」

[6] アラン・バトラー(1951~)は、作家・研究家・古代宇宙論天文学の定評のある専門家である。

[7] ステファン・デフォー(1962~)はカナダの非専属ジャーナリストで、テンプル騎士団フリーメーソンについての書籍の著者である。

 

「薔薇十字団についての多くの著者は、その団体が、教皇クレメンス(五世)による禁制の後にテンプル騎士団の以前の団員によって創設されたと主張する。」―マイケル・ハワード[8]著「オカルト(秘教)の陰謀Occult Conspiracy」
[8] Michael Howard(1948~)詳細不明。

 

フリーメーソンは、それを英国に移植した人間に改造されたので、薔薇十字団と似たり寄ったりである。」―ド・クインシー[9]

[9] Thomas Penson De Quincey(1785~ 1859)は英国の評論家。

 

ガーター勲章の騎士団の記章は小さなガーターの中に金と五つの花弁の赤いバラから成る宝石をあしらった首飾りから成り…首飾りから吊り下げられているのは英国の守護聖人である聖ゲオルギオス(ジョージ)が龍を殺している姿を表しているものである。」―同上

明らかに薔薇十字団は、更にもう一つずる賢く深謀遠慮に長けたテンプル騎士団シオン修道会が今度はプロテスタントの仮面の下に自らを隠し通す役割を果たしたのであった。これはプロシャと英国のメーソンを顛覆するために仕組んだ重要な戦略であった。

「1663年にメーソンの大会議が開催され、そこで有名な三つの階級が創設され、強力な薔薇十字団的要素がその術策に導入された。同じ頃、フランスの聖職者デピューの手になる一冊の本が現れ、14世紀にフィリップ・ル・ベル(フィリップ四世)により解散させられ、抑圧されたテンプル騎士団を正統であったとメーソンが認めることを要求した。デピューはテンプル騎士団が宗教的騎士団であったこと、そして騎士団を破壊したフランスの君主がその責を負わねばならないことを主張した。」―クラレンス・ケリー[10]著「神と人類に対する謀略」
[10] Clarence Kelly(1941~)はニューヨーク・ブルックリン生まれの教皇空位論者(Sedevacahtism)のカトリック神父。1960年代より教皇は存在していないとする少数派カトリック

 

赤い十字架の記号は教皇エウゲニウス3世によって授けられたものであったがそれは近代をずっと遡る記号であった。それは元々古代アリアンによって使われたもので、女神の最も優れた記号である。ギリシャ神話では美の神アドニスがヴィーナスによって薔薇に姿を変えられた。その花の赤い色はその神の血によるものであった。ヴィーナスは姉妹の守護神である。この場合、薔薇は、犠牲的にその男根(時には命)を女神に捧げる男性の侍者に対して優越する女神の女性の力を象徴する。テンプル騎士団赤十字が英国の主要な紋章として最初に現れたのは12世紀のスティーブン(Stephen)王の治世であった。

 

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聖ゲオルギオスの龍退治 

聖ゲオルギオス(ジョージ)は、テンプル騎士団が手本とした聖人で、テンプル騎士団自体によって崇められた。もちろん聖ゲオルギオス(ジョージ)の物語と女性と龍とを交えた冒険には多くの秘教的記号が関わっている。テンプル騎士団の記章或いは聖ゲオルギオスの像に赤十字が見いだされる場所ではどこでもそれは血を指すものである。特にメーソンとテンプル騎士団の場合にはそれは去勢、つまり(儀式的に或いは肉体的に)男根の切除を表す。(赤いドレスに身を包んだ)王女と厄介者の龍の上の聖ゲオルギオスの足の近接具合に注目して欲しい。龍は、奉公と啓発(悟り)に至る道の障碍とされる性的衝動を表す。修道僧は剃髪して自身の禁欲独身を表し、猶太人はヤムルカ(つば無し帽)を冠って貞節を象徴した。この肉体的或いは記号的禁欲は母なる女神の崇拝に関してのみ意味を成す。ミトラ神が牡牛を殺す像を見れば、そこで暗示されていることは聖ゲオルギオスと龍の場合と同じく、去勢である。

 

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ダ・ヴィンチコードの最終場面 

聖なる血(統)の概念が、キリスト教のイエスとはあまり関係ないことがわかる。それは、ただの好都合な隠蔽である。テンプル騎士団は、最近になって「ダ・ヴィンチ・コード」の豪華なショーで我々にそのことを思い出させた。そこでは、それはドラマの中で桧舞台に立った(マグダラの)マリアと主役のソフィーであった。映画の最終幕で、全ての登場人物の中で誰が最も重要な中心であったかを疑いなく示された。主役の英雄がマグダラのマリアの地下に隠れた暗号の上に到着する直前、彼は「剃っている」時に切って血を流し、その血がルーブル美術館のエジプト式ピラミッドの下の彼女の眠る場所に(薔薇の線)で、辿ることを見せられる。そして、我々は彼が騎士がするのと全く同じように跪いて、彼女の名に於ける自分の騎士的献呈を表すのを見せられるのである。明らかに、イエスではなく、マリアこそが、真実と光への道なのである。

 

テンプル騎士団の策謀を暴露する以前の試みは、一人の女性主役、マグダラのマリアに焦点をあてすぎて、女結社のことにはまったく触れなかった。これは、訂正が必要な大きな見落としである。シオン修道会は華やかな王朝の謎の女家長に率いられているのではない。全く違っている。エジプトのファラオが偉大な王家の妃たちに支配されたように、後の時代には女イルミナティが男の代理人を通して世界の命運を決定して来たのである。
https://www.youtube.com/watch?v=JzyhqEU9dpcダ・ヴィンチコードの最終場面)

 

 

赤い十字架、そしてそれと似た記号はまた、メーソンのアルファ支部(ロッジ)を表し、著者は黒いロッジとしてそれに言及する。続きの論説で開示するようにこれらの高度に秘密の組織は古代エジプトに遡ってその源流を辿る強大な人物と王朝により指揮されている。

テンプル騎士団或いはシオン修道会のアルファ支部はその閉鎖性の極致である。彼らはあなた方や私や、一般人を受け容れない。それは、スペインのフアン・カルロス王、オットーとカール・フォン・ハプスブルク、ケント公マイケル王子、ルイ・マウントバッテン、オランダのベアトリックス女王、ベルンハルト王子、英国のエリザベス女王と共に彼女が任命する所謂枢密院、聖ミカエル及び聖ゲオルギオス騎士団、ガーター(勲章)騎士団等の、最高に特権的個人に率いられている。

これらの華々しい家系と結社支部(ロッジ)の人間は、所謂黒い貴族と関係している。有名なセト-アテン信仰者から(血統を)引き継いで、彼らは「洗脳されていない」大衆と対応・調整する仕事を持った忠実な結社員を募るため世界中で秘密・公開どちらも含めた他の重要な結社を始めたのである。この募集活動はプロテスタントからと同様にカトリックからも来ており、それに利害を有する団体は大昔に危険を感じるべきであった。(この特徴的な共謀としてのなれ合いについては、話を進めるうちに説明しよう…)

この最も強大な黒い支部(ロッジ)の構成員は様々な下層の結社と会議に、権威付けを行い、それが多くの、更に情報を知らされない副官(代理人)を身辺調査し、選び、その人間が世界各国の政府・機関や研究所(シンクタンク)を運営するのである。これらの下層の捨て駒は我々の誰もが知っている、一般的な裏表の顔を持つ政治家と役人である。これらの「見せかけの敵対勢力」はどちらも勿論あなた方や私に尽くしはしない。今日、著者自身のような研究者たちの弛まぬ研究のため、多くの知識階級の人々がこの事実に気づいている。(強調は燈照隅による)

実際、我々が秘密結社の存在と権力を疑う傾向にある理由は単に我々がその結社員ではないからである。すべては視界の影と周辺で続く。この疫病の根を暴くには生涯を賭けた緻密な研究をしなければならない。これらの議論の的となる問題について目覚めさせようとするほぼ全ての人からの嘲笑に耐えることに慣れなければならない。更にまた、秘密結社の世界の中で起きる重大な変化や家系間の敵対に関して追跡し続けられることも要求される。これらの争いや粛清については公になるものもあるが、それ以外は何世紀にも亙って極秘にされるのである。(強調は燈照隅による)