文明のアイルランド起源 HPより18(第二部・終)

追加の記号の例

言語と伝達の技術に係るマーキュリーの神は元々はオグマOgmaとして知られるアイルランドの神で、アイルランドの至高の女神ブリジットBrigitの息子である。

マーキュリーはヘレニズムのヘルメス神のローマ語訳であり、エジプトのトート神とアイルランドのハーン神が土台であった。トートThothの名前はまた、TutやTautとも訳され、その名前は英語の「真実truth」に近い。

トウトtote(計算する)、教えるtaught、喉throat、話すtalk、思うthoughtなどの言葉はこの神の名前から来た。ハーン(ケルヌンノスCernunnosまたはNikor)は古代ドルイドの森の神であった。ハーンはまたヒンドゥー教のシバ神(パシュパティPashupati)の原型でもあった。オグマOgmaの名はアウマaumaまたは伸ばした音でアウームaumと発音された。これはサンスクリット語の聖なる音素AUMに近い。オグマの称号の一つが「蜜の口the Honey Mouth」であった。この神はまた力の神でもあった。今日に至るまで古代アイルランドのアルファベットはオガムoghamとして知られている。オガムの異形は遠くアメリカやボスニアで発見されているが、その証拠は慎重に隠されている。

 

 

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ドルイドの神聖なオガムアルファベット。
(これについてもっと詳しい情報は、第一巻の第14章、「古代の失われた言語」をご覧ください。)

 

「彼らは主にマーキュリー神を崇拝した。この神を表すには多くの記号が存在し、彼らはこの神を全ての技術の発明者、旅の案内者、売り出しや商業に大きな力を持つ存在と見做していた。この神の次に彼らが崇拝したのはアポロ神、マーズ神、ジュピター神、ミネルヴァ神であった。これらの神については彼らの信仰は他の民族とほぼ同じものであった。アポロは病気を癒し、ミネルヴァは産業の要素と技術を教え、ジュピターは天界を治め、マーズは戦争を指揮する…全てのゴール人Gaulsは彼らがその始祖ディスパテルDispaterの子孫であると主張する。」
ユリウス・カエサル著「アイルランドドルイドの宗教について:de Bell. Gall. Vi. 17,18より」

 

カバラ

ユダヤカバラは、カルデア人の秘密教義の歪曲した反響音(エコー)に過ぎない」
―H・P・ブラヴァツキー

 

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神聖なアルファベットは神聖な樹の崇拝と共にオリエントに達し、その改作後、アルファベットはフェニキアヘブライの文書の土台となった。ヘブライゲール人と関係があり、「失われた」エジプトのアルファベットである。それには22の文字と5つの母音がある。これらの文字の魔法の操作に関する秘密は古代の秘儀の学寮(学校)に送られた。今日、これらの22の文字は22のカバラの命の木の道を表すことが発見された。カバラとそれに関連する修養は古代イスラエル人からではなくドルイドから来るのである。この異教の(木の)像を利用し、精神的且つ霊魂の啓発の旅を樹木の道或いは枝に似せたのは彼らなのであった。この記号の起源は今日それを認められている民族ではない。猶太のラビや学者の最高位の者は、カバラに関する自分たち自身の疑問を、そしてなぜそれが彼らラビの正典の一部であるかを巧妙に隠したのである。彼らはそれを自分たちの手柄にし、理解しているふりをするが、その起源やどのようにして彼らのものになったかを知らない。それは彼らのエジプトのアテン神の太陽信仰カルトとの関わりからそうなったのである。

多くのエジプトの慣用句や教えのようにカバラは連繋(交流)で吸収された。それは旧約聖書の猶太の創作ではない。研究者キエラン・バリーKieran Barry*(彼はアイルランド人やドルイドに関わっていないけれども)は、カバラが猶太人に知れる以前にギリシャ人が知っていたことを示す言い逃れようのない証拠を提供している。彼が気付いていないのは、それが、ドルイドの秘儀の伝統を土台にした錬金術師自身の仲間を経てギリシャに来たことである。
*Kieren Barry(恐らく綴り間違い)はギリシャカバラ(The Greek Kabala)の著者。

この分野の近代の全ての研究者の中で、命の樹木と聖なるアルファベットであるカバラアイルランド起源に関してここに掲げた真実を理解していたのは、ロバート・グレーブス、ゴドフリー・ヒギンズ、アルバート・チャーチウォード、そして偉大なジェラルド・マッセイであった。

生きた有機的命の木の像は、レヴィ族の伝統からは引き出せない異教の象徴であった。

それは最も古い古代コーカシア部族の思想であったし、スカンジナビアヴァイキングの伝統にイグドラシルYggdrasilとして現れる、その根を冥界に持ち、その枝を天界に伸ばし、我々がチャクラの組織に見出すのと似たような方法で主な七段階で区切られた宇宙の樹木であった。イグドラシルの周りで、蛇 ―もう一つの記号でアイルランド人とエジプト人によって大きく用いられる― がとぐろを巻くのであった。(詳しくはこちらhttp://www.irishoriginsofcivilization.com/cult-of-mithras.html

「…われわれはより多くのこの歴史の特異な姿がエジプトには存在したことがわかる ―生命と知識の樹、天国の蛇、自分自身に神性を与えるイヴ、そして要するにアダム自身、がすべて居た。」
―M・レフェベールLefébure

 

カバラの聖域に入り込み、あまりに論理的、単純、と同時に絶対である教義を理解すれば尊敬の念で満たされるであろう。考えと記号の必然の統合、最も基本的な現実の原始的文字による神聖化、言葉、文字、数字の三位一体、アルファベットのように単純な哲学、言葉のように深遠で無限、ピタゴラスのものよりも完璧で明快な理論、指で数えて合計できる神学、幼児の手で作る中空に収まる無限、10の暗号と22の文字、三角形、正方形と円 ―これらはすべてカバラの要素である。これらは書き言葉の基本原則であり、世界を創造した話し言葉の反映なのである。」
アルバート・パイク著「道徳と教義」

 

天使の名とイスラエルの名に於いて、熟達した学者ローガン・ミッチェルは次の様に書いた。

「…博識な批評家がガブリエル・ウリエル・ラファエル・ミカエル・サタンなどのような聖書の天使の名前は純粋に古代カルデアペルシャのものであることを示している!そしてこれはエルサレムのタルムードで確認されて居り、猶太人はバビロニアから天使の名前を借りて来たことを公然と言っている。イスラエルの名前ですら、フィロ・ジュダエスがローマへの派遣使節で皇帝カリグラに余すところなく説明するように、ヘブライではなくカルデアの言葉である、と。」
―「星座に於ける宗教・明かされる神話(1881年)」

 

3と言う数字

プトレマイオス朝の最も驚くべき重要な出来事の一つは、マケドニアギリシャ人による支配国家の国家宗教としての、エジプトのオシリス三位一体宗派の確立であり、その結果としてイシスの宗派は地中海世界の隅々まで広がり、その時代の最も一般的宗教になった事である。イシス・オシリス・ホルスの宗派はローマにも伝えられ、そこでキリストの時代までにローマ人の、特にローマ兵の最も一般的な宗教的信仰となった。」
―R・A・ガブリエル著「エジプト人エス

 

数字の三は、無知と知識、愚昧と智慧などのような二極対立の間で調和の中間点を示すため、シャーマンの伝統に於いては最高に重要であった。三は調和の仲介者を表した。ドルイドは自然がそのような煩わしい二分法で成り立つものでないことを理解したが、人の心は確実に(二分法を)持って居た。二元性は意識の現象であり、自然のものではなく、断片化した魂ですら誤ってその欺瞞性を投影するが、その後、その通りだと(二元性を)信じるようになる。

「…猶太の、カルデアの、ヒンドゥーの、そしてキリスト教徒の神のようにこのドルイドの神は神自身の裡に三つの属性を持って居り、そのそれぞれの属性は(唯一神ではない)神なのであった。」
―W・ウィンウッド・リーデ

 

ウェールズ語で三と言う言葉はtriであり、サンスクリットでも同じである。アイルランドゲール語の三位一体はTriquetraで、それはサンスクリットのTrikutaに類似しており、「三つの頂点」を意味する。エジプトでは三つの頂点或いは三つの山を描いたヒエログリフは「異国人」或いは遠い国からの旅人を指す。

ドルイドアイルランドは意識の半球によって分割された。四つの主要な領域があり、一つの管理的中心が第五の神聖な領域を造った。この領域はマイドMide(又はミースMeath)と呼ばれ、それは中間の場所を意味した。首都タラはそこにあり、同様に偉大な天文学の巨石(Newgrange、Knowth、Dowth、などの印象的地占いの場所)もそこにあった。エジプトの均衡と調和の至高の女神はマアトMa’atと呼ばれ、この言葉はゲール語が起源である。マアトは偉大な母で、ダヌDanuやブリジットBrigitと同じ範疇である。その名前が意味するところは「真っすぐ」、「真実」、「正義」であった。マアトを描くヒエログリフもまた数学的公式の二分の一(一割る二)を指すものであった。

メイジャイMagi(東方の三博士)の力は彼らの「第三の原理」の理解とその属性の適用に存した。ドルイドの三位一体の第三の面であるイエサIesaは、彼らの最も崇拝する神であった。イエサIesaはイエスの原型であり、破壊と再生の主、ヒンドゥーのシバ神とも繋がりがあるともされた。この第三の原理は聖霊としてキリスト教正典に登場し、その記号は鳩である。

「…彼ら全体のうち、特に三つの階級、バードBards、オヴェイトOvates、ドルイドDruidsが顕著に崇拝された。バードは詠唱者*(聖歌隊)と詩人である。オヴェイトは…「生理学者」である。ドルイドは、生理学のほかに倫理哲学を実践する。彼らは最も高潔と見做され、その結果、ある場合など、彼らが戦争に関して、戦闘開始の前夜に軍を止める決定をする程に、公的にも個人的にも、論争を戦わせたのであった。彼らは魂の不滅を説き、世界もまた不滅と。しかし究極は火と水が勝利するだろう、と説いた。」
*吟遊詩人?
―ストラボ(一世紀ギリシャの歴史家・地理学者)

 

我々は秘教のカバラの教義を通して、三と言うことの原型を見出すが、それは元々はドルイドの教えを土台にしたものであった。ドルイドの学寮は三者の分科を用いた。ドルイドの結社そのものが三つの部分に分けられていた。そしてドルイドの三位一体(ベルBel、タラニスTaranis、エススEsus)も勿論、他のすべてが土台にしていた原型であった。

古代エジプトの宗教はその早い時期から神々を三つの集団、「三主徴」に配する自然な傾向を示した。オシリス-イシス-ホルスの類型に従い、三主徴は後には、父-母-子の「家族の」形をとり、いくつかの都市ではその主題の都市自体の特有な変形を崇拝した。」
―ニコラス・リーヴス

 

ヘブライの神学は三つの明確な部分に分割されていた。第一は律法、第二は律法の魂、第三は律法の魂の魂であった。律法はイスラエルのすべての子供に教えられた。ミシュナ、つまり律法の魂はラビと先生に明かされた。しかしカバラQabalah、つまり律法の魂の魂はずる賢く隠され、猶太の中で一番高位の結社員にだけその秘密の原理に於いて指導された。」
―マンリー・パーマー・ホールManly Palmer Hall著「全時代の秘密の教え」

 

ドルイドのその三位一体は彼らの天界の観測と崇拝を土台にしていた。彼らの三人の神はオリオンのベルトの三つの星の人格化されたものであった。オリオンの星座は最も早い時代から時代を通じて尊崇されて来たのであった。

 ※これで第二部が終わりです。次回より第三部です。ご期待ください。