ドイツ悪玉論の神話098

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強姦と殺人

独逸軍がライヒに向けて撤退し始めると、言葉にできない様な残虐行為がすべての連合國によって犯された。それは、連合國がある種の流血の欲求に憑かれたとしか思われない出来事であった。軍人、民間を問わず独逸人を殺すことに対する全ての文明的な制裁が外された。

ダグラス・バザタ(Douglas Bazata)は著書「Target Patton」でOSS(CIA の前身)で働いていた自分自身と他の「狙撃手」について語る。彼と他の狙撃手は、フランスから独逸に退却していく独逸軍の後について行って、既に武器を放棄した落伍者 -つまり、独逸の兵士、怪我や疲労のためについていけなくなった兵士- を殺すことを命じられた。彼らは、自分ではどうする事も出来ない、独逸に戻って行こうとして道路に沿って懸命に奮闘するこれらの男や少年を狙撃銃で遠くから射殺した。

何千機と言う爆撃機集団が降伏の當日まで独逸の町を消滅し続ける中、戦争の末期の何か月間か、英米の1,800機の戦闘機が國中の交通網を破壊する命令を受けて独逸の上空に放たれた。日がな一日、そして毎日、空はこれらの戦闘機であふれ、無防備の独逸の田園地帯上空を縦横に飛び、動くものは何でも機銃掃射した。彼らは特に列車を狙った。最初は蒸気機関車を撃ち、爆発を起こしたら、円形に折り返して来て機銃掃射で車両と避難民でいっぱいの客車を含め、その中の人々を撃った。彼らは、道を行く車、自転車に乗る人々、または道端を歩く人々に向けて機銃掃射した。彼らは畑で耕している農民に機銃掃射し、また、家畜をも殺した。彼らは、家々の窓に向けて機銃掃射した。彼らは、街路の人々に機銃掃射した。彼らは特に道を行く、進行部隊から逃げて来た避難民の列に向けた。独逸人を殺すことはスポーツとなった。独逸では動くものは何でも恰好の獲物と言う修羅場と化した。この全ての結果として、独逸人は交通の欠如の為、自分たちの人々を養うことが出来なくなり、飢え始めた。彼らは、強制収容所の収容者も養うことが出来なくなった。これは、独逸に進撃してきてそこに遭遇した英米の兵隊が非常に衝撃を受けた、大量のやせ細った死体を説明する。発疹チフスが飢えて弱った収容者の間で流行した。

ロシア軍が最初に東プロシャに入った時、彼らは、気が狂った野獣の様な振舞をし、独逸人を大量に強姦し殺戮した。東プロシャの全員が進行して来るロシア人から逃れて避難民として独逸の中心部に向かおうとした。「この地域にソヴィエトの軍隊と共に降って湧いた災難は、近代欧州の経験に類を見ない。この地域の相當な部分では、全ての現存する証拠から判断して、ソヴィエト軍が最初に通過した後、地域に根差した人々の男女子供で生き残った者は殆どいなかった。」ジョージ・F・ケナン:回顧録 1967.

終戦近く、ロシア軍が独逸に流れ込んで来ると、猶太人のソヴィエト宣伝大臣、イリヤ・エレンブルグは、何百万枚ものビラを印刷し、ロシアの兵隊の上に飛行機からばら撒き、彼らが独逸に入ったら、次の様に彼らに熱心に殺戮を勧めた。「どこで見つけようと独逸人を殺せ!あらゆる独逸人は我々の致命的な敵だ。女子供・老人への慈悲はいらない!すべての独逸人を殺せ!奴らを消し去れ!」と書いてあった。

 

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イリヤ・エレンブルグ スターリンの猶太人宣伝大臣。ロシアの兵隊に独逸女性の強姦と女子供の殺人を勧めた


もう一つの降下ビラでもエレンブルクは、次の文章でロシアの兵隊に非道を強力に推し進めた。「殺せ、殺せ、君たち勇敢な赤軍の兵士よ、殺せ。独逸人には潔白などは何もない。スターリン同志の指示に従え、そしてファシストの獣を洞窟に踏みつけよ。独逸女性の人種的傲慢を力で壊せ。當然の戦利品として捕らえよ。殺せ、君たち勇敢な赤軍の兵士よ、殺せ。」

更にもう一つのビラは、次のようであった。「独逸人は人間ではない。それ故に独逸人と言う言葉は我々にとって最も忌むべき呪いである。今を以て、独逸人と言う言葉が君たちのライフルの引き金を引く。我等はもう話すまい。我等は高ぶるまい。我等は殺すのだ。君たちが独逸人を一人でも殺さない日があれば、それは、無駄な一日である。(中略)銃弾で殺せなければ銃剣で殺せ。今いる前線で平穏があるなら、戦いを待っているなら、戦闘の前に独逸人を殺せ。独逸人を生かしておけば独逸人はロシア人を縛り首にして、ロシア女性を犯すだろう。一人殺すなら、もう一人殺せ -我々にとって山と積まれた独逸人の死体より楽しいものはない。日数を数えるな、距離数を数えるな、殺した独逸人の数だけ数えよ。独逸人を殺せ -これが君たちの年老いた母の祈りだ。独逸人を殺せ -これが君たちの子らが懇願する事だ。独逸人を殺せ -これが君たちの祖國ロシアの大地の叫びだ。動揺するな。立ち上がらせるな。殺せ。」

この様なビラが連日ロシア軍に空から撒かれた。この種の人種的憎悪に拍車をかけられ、赤軍がこの様な悍ましい残虐行為を犯したのは不思議ではない。

「...人類の歴史に於いて最も恐ろしい章の一つから、(中略)目撃者の説明では、略奪、分捕り、害悪、強姦、大規模殺人と人々の苦しみ...」イーストランド上院議員、12月4日議会記録

「三週間に亙って戦争は独逸國内で戦われた、そして、若い女が独逸人だったら、強姦されて射殺されたことは、我々全員が良く知っている。これは、殆ど戦闘の勲章であった。」アレクサンドル・ソルジェニーツィン、ロシア軍大尉として。

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