日本の臣道

日本の臣道4(完)-和辻哲郎1943.04

以上二つが武士の道として自覺されたものであります。いづれも深い意義を持つてゐるのでありますが、しかし中世以來の武士の生活が主として内亂の上に立つてゐたといふ制限は脱することが出來ません。それは國内のみを見て國外を見ない立場であります。從つ…

日本の臣道3 -和辻哲郎1943.04

次に儒教と結びついた場合を問題と致します。それは初めから儒教に教へられて生じた傾向ではなく、武士たち自身の體驗の中から漸次形をなしてまゐりまして、後に儒教と結びついたものであります。前に申しました様に武士の生活が主從關係だけでは解決がつか…

日本の臣道2 -和辻哲郎1943.04

話の便宜上まづ佛教と結びついた場合を取上げますが、所謂鎌倉佛教を作り出した根本の力は武士の不惜身命の立場であります。鎌倉佛教は佛教の日本化に相違ありませぬが、しかし日本人はこの時佛教の地盤から世界宗教の代表的な類型を悉く刻み出したのであり…

日本の臣道1 -和辻哲郎1943.04

臣道について我々の祖先がどういふことを考へどういふことを申してゐたかを省みまして、それを簡單に述べて見たいと存じます。 話の緒と致しまして、近頃軍人精神につき海軍の方が説明されました言葉をここに拝借したいと思ひます。それは昨年の一月八日の平…

日本の臣道0

和辻哲郎先生の日本の臣道(1943.04)アメリカの国民性(1943.12)を公開いたします。この本は国会図書館のデジタルライブラリーに公開されているものですが、ここでは私が文字起こししたもの(コピペで利用できますので便利です)をお読みください。 戦争中…